昔ながらの懐かしい“和”のデザインに、日本の四季や風情をポップに表現した京都発のテキスタイルブランド「SOU・SOU」のエッセンスをプラスした住まい。日本の現代のライフスタイルに合わせて、自由に“和”を表現した家には、日本人の上手な暮らしのコツが散りばめられている。

伝統的な日本家屋のシンボルとも言える切り妻屋根が目を引く「NIHON NOIE PROJECT」。
この住まいには、通り庭や土間、縁側など、四季のある日本で心地よく暮らす日本家屋のアイデアが溢れている。豊かな自然環境の中で季節の移ろいが感じられるのもこの住まいならでは。

太陽が登り始めた夏の日の朝。玄関までの長いアプローチを軽くほうきで掃いて、水をまく。夏の暑さを和らげるための“打ち水”から1日がはじまり、屋根の天窓から差し込む陽光、遠くに聞こえる蝉の声も、心地よい夏の朝を演出する。

「SOU・SOU」の暖簾をくぐり、通り庭兼アプローチをぬけて玄関から室内へ。LDKと和室は土間でゆるやかに区切られ、窓を開け放つと、いつも心地よい風が吹き抜ける。寒さもダイレクトに伝わる開放的な空間がゆえ、冬は土間の暖炉を子どもたちが囲い、吐いた息の白さを見て笑い合うのもこの住まいの楽しみ方のひとつ。

朝は、暖炉で沸かしたお湯でお茶を淹れ、芳しいお茶の香りで家族が次第に起きてくる。湯布院のお茶を飲みながら、居間とキッチンの段差に腰掛けたり、オリジナルの造作ソファに座ったり…自由なスタイルで朝ごはんまでのひとときを過ごしているのが朝の光景が目に浮かぶ。

土間を挟んだLDKの向かいには離れをイメージした和室がある。昔ながらの和室の様相は残しつつ、ポップな壁紙がアクセント。縁側に腰掛けながら、お気に入りの湯呑みや器でお茶を飲み、庭で遊ぶ子どもたちの姿を眺める昼下がり。忙しい毎日を過ごす夫婦は、このひとときが何ものにも変えがたい至福の時間になる。子どもの成長や日々の出来事など、ここで生まれる何気ない会話が、家族の絆を深めてくれるのだ。

スチール階段をあがり２階へ。カウンターは、趣味のカメラで撮影した画像を整理したり、好きな本を読み耽ったり…家族みんなのお気に入りのスペース。子どもたちが２階で宿題をしていると、1階から美味しそうな香りが漂ってくる。

「今日のご飯はなに？」

そんな会話も自然と生まれそう。空間のつながりが、家族のぬくもりと温かさを感じさせる住まいだ。

日本人の心の奥底にある原風景や原体験の記憶をあらためて掘り起こし、"新しい和"を表現する「NIHON NOIE PROJECT」。古き良き日本の住まいの知恵が散りばめられた空間は、これまでの“和の家”とは違い、新しい”和“の愉しみ方や心地よさが表現されている。小さな頃、田舎のおばあちゃんの家で感じた温かさと懐かしい風景を現代スタイルにアップデートした、穏やかな空気が流れる愛おしい家だ。